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2005 Event Report

現代特殊奏法/ライブ・エレクトロニクス特別公開講座
2005年11月7日 午後4時20分開演 尚美学園大学4号館5階音楽ホール

音楽の専門授業が一番多く集中している月曜日ということもあり、学生の参加数が心配されたが、 それらの授業担当教官の特別講座参加希望学生に対する出席の配慮もあり、 予想以上の参加者を得て開催することができた。

講座は現代特殊奏法と、演奏者が得意とするレパートリーの一つである ライブ・エレクトロニクス作品を中心に行った。具体的な内容としては、 まずCDのプレイバックを流しながら1曲演奏。続いて、CDに収録されている電子音響の制作の模様、 それに対するヴァイオリンパートの制作の模様などをお話していただき、 その後で、講座参加者との質疑応答に入る、という形で行った。
参加学生の大半は、ポピュラー系の音楽を創作や標準的なクラシックの 楽器演奏を勉強している学生達であったが、聞き慣れない芸術音楽系の ライブ・エレクトロニクス作品についても、その創作の手順や作曲家と演奏者の共同作業に関するお話に、 熱心に耳を傾けていた。質疑応答では、音響技術について、創作過程について、特殊奏法についてなど、 作曲系の学生の他、教授陣からも多くの質問が出され、この講座に対する大学側の感心の深さを表していた。 またヴァイオリンの実技指導教官は、ケントロス氏のヴァイオリン演奏を非常に高く評価し、 講座中しきりにブラボーと声を上げていたのが大変印象的であった。

この講座においてケントロス氏がテーマとしていた、 現代特殊奏法とライブ・エレクトロニクスの音響との関連性が、 みごとに浮き彫りになり、聞く者の集中力を途切れさせることなく講座を進行することができた。 ケントロス氏の知識の深さと、何よりも、教育現場の要求を良く把握して活動されていることが、 改めて示された講座であったと言えるだろう。

京都公演 「現代特殊奏法マスタークラス」
2005年11月8日 午後7時開演 京都文化博物館別館ホール参加者:30人

講座はザ・パールズ・ビフォー・スワイン・エクスペリエンスのレパートリー曲を中心に 特殊奏法を含む現代音楽が演奏された。演奏会と違って、曲の部分部分に焦点を当て、 特殊奏法の楽譜での記述の仕方、それがどう演奏に反映されるか、などが詳しく説明された。

平日の夜ということもあり、参加者は多くなかったものの、関西の音楽大学の学生、 演奏家、金沢からの作曲家まで来場した。舞台と客席に別れる通常の演奏会や講議とちがい、 ザ・パールズ・ビフォー・スワイン・エクスペリエンスのメンバーのすぐ後ろや横から楽譜と演奏を 同時に見学する事も可能となった。そのため、積極的に参加者が質問できたうえにそれぞれの質問に 演奏メンバーがじっくり細やかに答えられるという、有意義な講議となった。 関西では東京とくらべると、現代音楽の講習会(それもヨーロッパで活躍している現代音楽 アンサンブル・グループによる講習会)が開かれる事が大変少ないため、 関西の学生、作曲家達にとって貴重な勉強の場となったのではないかと思われる。

京都公演「学生作品リーディング」
2005年11月9日 午後1時開場 京都文化博物館別館ホール 参加者:12人

学生、若手作曲家にリーディング用の短い作品を事前に募り、2人の作品が選ばれ、 演奏された。リーディングは、観客がザ・パールズ・ビフォー・スワイン・エクスペリエンスの メンバーによるそれら2曲の演奏をきき、演奏家と作曲者の公開レスンを見学するような形でおこなわれた。

通常の作曲の教師によるマスタークラスと違い演奏者からの視点で作品が解釈されるため、生徒達は、 より具体的、実用的なアドバイスや方法を学ぶ事ができた。前日の「現代特殊奏法マスタークラス」と同様に、 関西では質の高い現代音楽演奏家による学生リーディングは大変珍しいため、学生達、他の参加者にとって 有意義なリーディング・セッションとなった。

京都公演
2005年11月9日(水)午後7時開場 京都文化博物館別館ホール 入場者:130人

平日の夜にもかかわらず、現代音楽の演奏会に100人以上の観衆が集まった。 関西では現代音楽の演奏会自体が珍しく、開催数も少ないため、現代音楽を聴く人口が少ないが、 それはむしろ情報が人々に伝わっていない、というのも大きな原因のひとつである。今回は朝日新聞、 毎日新聞にこのコンサートの情報が掲載されたうえに、散らし、口コミなどでも情報がひろまったため、 通常の「コアな現代音楽ファン」だけでなく、一般の聴衆も来場したと思われる。

客層としては、音楽家、作曲家はもとより、音楽以外の芸術家、美学研究者、美術の学生、 地域の学校の教師、そのほかの音楽愛好家の人々が来場された。音楽関係者以外はほとんどが 「現代音楽を聴くのは初めて」という聴衆だったが、多くの人が「現代音楽は難解だ、 と言う先入観を吹き飛ばしてもらった」という感想をのこしてくださった。 また、美術キューレター/京都造形大学教授の福のりこさんも このコンサートに関する文章を記して下さっている。

徳島公演
2005年11月10日 午後7時開演 ホテルリビエラししくい2Fラウンジ 入場者:160人

徳島県の最南端に位置する宍喰町は、県内有数のリゾート地として知られている。 その地を意図的に選んで移住する有名な芸術家もいるとはいうものの、他の地方の例に漏れず、 人口の減少が著しいため、文化芸術関係のイベントは地元ではほとんど開催されることも無く、 とても文化的な水準が高いとは言い難い。その地で1991年から順調に活動を続けている地元の音楽愛好会 「SHISHIKUI音楽友の会」に、集客や運営の協力をお願いして、今回の演奏会が実現した。
彼らは年に数回クラシックやジャズの演奏会を開催して、地元の文化振興に寄与しているとして、 高く評価されてきた団体で、過去にドイツのアンサンブルを迎えて演奏会を開催したこともある。 しかし、これまでに現代音楽の演奏会を行ったことは一度も無く、どちらかといえば、 初心者向けのプログラムが多かったと聞く。

今回の演奏会は、地元の任意団体「SHISHIKUI音楽友の会」とNPOグローヴィルとの連携により 実現したわけだが、未知の分野の音楽によるプログラムということで、地元の人々にとっては 非常に大きな挑戦であったであろう。それが、蓋を開けてみれば、これまでで一番の集客数となったという。 開催場所である宍喰町で育った作曲家、小島有利子の作品が演奏されるということで、 いつも以上に地元の人々の関心が高まり、音楽友の会の会員はもとより、 会員以外の来場者も多数獲得することができた。

しかし、聴衆のほとんどは、現代音楽どころか、友の会主催の演奏会以外で クラシック音楽に触れる機会も無いような人ばかりである。 その専門知識の無い人々が、演奏者の素晴らしい表現力に酔い、 5分間に凝縮された真珠のような時間に酔い、最後には涙さえ浮かべている人が多数見られたのである。 芸術を鑑賞するには、実は専門知識はそれほど必要では無いということや、芸術の根本的なあり方を改めて 示してくれたイベントだったと言える。

文化的に未開の地ともいえるような僻地において開催された、極めて芸術性の高い演奏会に、 地元のメディアも高い興味を示し、徳島新聞社では開催日の10日前に「鳴潮」(朝日新聞天声人語に相当) に取り上げた。当日も文化担当記者が取材に訪れ、演奏後には、立ち会った作曲者の小島に対して インタビューを行い、10日後に大きく掲載された。

東京公演 「公開リハーサル」
2005年11月11日 午後3時開演 スウェーデン大使館オーディトリアム 参加者:15人

鶴見幸代と山本裕之が初めてリハーサルを行った。 既に京都・徳島で作曲者の立ち会いなしで演奏しているので、 ザ・パールズ・ビフォー・スワイン・エクスペリエンスは自分たちなりにある程度演奏をこなしていたが、 公開リハーサルでは解釈や演奏法の修正など具体的な内容に踏み込み、 深い内容のやりとりが公開でなされた意義は大きい。 そのほかに小島有利子やスウェーデン人作曲家のいくつかの作品が断片的に演奏された。

東京公演
2005年11月11日 午後7時開演 スウェーデン大使館オーディトリアム 入場者:145人

コンサートは徳島と同じプログラムで、ヴァイオリンのジョージ・ケントロスによる 軽妙なスピーチ(通訳:小島有利子)を間に挟みながら行われた。 会場の定員がきっちり100人だったため、先着順でチケットを発行した。 スウェーデン・スタイル期間中ということもあり、広く宣伝もされたため、 観覧希望者が定員オーバーし、30人以上を断わることになるほど、関心が集まった。 音響はコンサートホールのために作られた会場ではないためとてもデッドで当初は懸念されたが、 京都公演ではとても残響の多いホール、徳島もまた音響の異なるホールだったため、 むしろバラエティーに富んだ演奏ツアーになった。

観客層は関東地方の音楽関係者や音大の学生だけでなく、一般の聴衆、 他のジャンルの研究者もおおく、また外国の方々も来場し、多様な客層であった。 東京公演のホールは観客と演奏家達の距離が大変近く、それが臨場感を増す良い結果にもつながった。 また、飲み物を用意し演奏家と観客との歓談の場を設け、貴重な交流の機会となった。

東京公演「学生作品リーディング」
2005年11月12日 午後2時時開演 公園通りクラシックス 参加者:29人

学生にリーディング用の短い作品を事前に募り、5人の作品が選ばれ、演奏された。 演奏者は楽譜にのっとって演奏し、その後学生と楽譜上の意図などについて話し合いながら、 演奏上の問題、効果、楽譜の表記方法などについて指摘を行っていた。 学生は大学の通常の授業ではほとんど触れることのできない「現場」からの指摘、 そしてヨーロッパの現代音楽エキスパートから直接学ぶ機会を得た。また公開で行われたため、 観客にもインパクトがあった模様である。この類のリーディングはヨーロッパでは広く行われているが、 国内では90年代に秋吉台国際セミナー、現在は武生音楽祭で行われている。 東京でのこのような機会は貴重であった。

「エレクトロニクス作品ライブ」
2005年11月12日(土) 午後2時開演 公園通りクラシックス 入場者29人

学生アーティスト2人のステージ各15分とPBSEによるステージ約30分による構成で行った。 セッティング、機材入れ替え、通訳等を含めて、約1時間半のプログラム。
学生アーティスト2人の作品は、作曲者自身がステージ上でコンピュータ機器のマニピュレーションを行い、 クラシックという枠にとらわれない自由な発想 による、テクノやポップ的な要素の作品が演奏された。

一人目のチャン・ミーによるオープニングの曲では、PBSEメンバーのうち、 ヴァイオリン、チェロ、ピアノの3人との共演により即興を含む演奏が行われ、 アジア的とも思えるような、独特の雰囲気を醸し出すことに成功していた。

二人目の高橋征司による作品は、テクノという表現形態をとった新しい時代の具体音楽。 学生アーティスト達にとっては、このような公式の演奏会で発表の機会を持つことや、 世界的に活動している演奏者との共演は、大変大きなステップになったようである。

後半のPBSEによるステージでは、スウェーデンやアメリカの作曲家によるライブ・エレクトロニクス作品と、 今回特別に、エレクトロニクスは使わないものの、制作の過程において、エレクトロニクスを分析して 器楽パートに応用して作曲された作品が演奏され、エレクトロニクスと器楽音の関連性などを クローズアップした、興味深いプログラムとなった。


2004 Event Report

2004年10月18日、日比谷スタインウェイサロン・松尾ホールにて、「ピアノ表現の可能性−内部奏法の新たな思索」が開催されました。本講演会「ピアノ表現の可能性−内部奏法の新たな思索」は、ピアノの現代的奏法である「内部奏法」に焦点を当て、表現者(作曲家・演奏家)・ピアノ技術者(調律師)・施設管理者の間にあるピアノという楽器の特殊性をテーマにしたものです。 協賛 NECソフト株式会社

講演会は2部構成で、順に「『借り物のピアノ』と『自由な表現』の間に」と「実用的な内部奏法を考える」と題しました。第1部は主に、ピアノが演奏家の所有楽器ではないという特殊性から生じる「借り手」と「貸し手」の間に生じるトラブルの構図を述べ、第2部では、そのトラブルがとりわけ多く発生する「内部奏法」と呼ばれる技法の、安全な方策のための提言が中心となりました。 講師は株式会社松尾楽器商会技術部の倉田尚彦氏でした。氏は調律師の立場から、これまで数多くのトラブルの現場に立ち会われました。また多くの問題はピアノの借り手と貸し手の間に生ずることから、その中間に位置し、なおかつピアノの仕組みに関する専門家でもある調律師が講師として最適であるとの考えから、氏に講演を依頼しました。

会場の松尾ホールにてはキャパシティー88に対して、76人が申し込み、71人が当日来場されました。参加者は、表現者である作曲家や演奏家、そして普段ピアノを管理している施設管理者の他に、これからピアノの演奏家や教師を目指す音楽大学、教育系大学の学生や大学院生なども多数参加しています。ゼミ単位で参加された方々もいます。一つの限定したテーマに基づく講演会としては珍しく、実に様々な方面から参加して頂いたといえます。

当日は、松尾楽器商会が会場にフルコンサートモデルのスタインウェイピアノ(約1500万円)と、鍵盤部分のアッセンブリー(集積部位)、鍵盤アクションモデルや調律道具、内部奏法用素材などを用意し、それらを使ったデモンストレーションが中心になりました。なおピアノの機構、すなわち内部構造が話の中心となり、またピアノ内部は細かい部品が多く使われているため、小型ビデオカメラをプロジェクターに繋ぎ、倉田氏が話をしながらピアノの内部を会場のホワイトボードに映し出す形で行われました。この方法については、参加者から「非常にわかりやすい」と評価を受けました。

なお、講演会の最後には質疑応答の時間がもうけられましたが、参加者の「様々な立場」が議論を白熱したものにしました。普段、表現者と施設管理者といういわば対峙する立場の人たちは意見交換をする機会がほとんどありません。にもかかわらず、現場では様々な問題が起こっています。したがって、この講演会がそのような人たちの議論の場となるのは当然ともいえ、ピアノにまつわる様々な問題を認識し、当事者の間で共有する、という本講演の潜在的な目的は成功したともいえます。なお、議論は長引き、17時終了予定のところ、18時にまでずれ込みました。


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June Event Report

作品はそれぞれ異なる編成で、メンバー6人全員が演奏する作品ばかりではなく、CD再生によるコンピューター音楽作品、木管二重奏、ピアノ・トリオなど、NYNMEの芸術的配慮によりバラエティに富んだプログラムが組まれており、高度な演奏技能による豊かな音楽表現によって、終始観客を惹き付けていました。日本の現代音楽界の傾向の違いから、過小評価されがちなカーターの音楽も含まれていましたが、今回、息もつかせないような鮮やかな演奏により、「カーターの音楽をこのように面白く聞いたのは初めて」などと、音楽の専門家の多くから賛辞をいただきました。
会場ロビーでは、この日演奏された全作品の楽譜やスケッチが展示され、手に取って興味深く見入る人も多く、グローヴィル独自のプレゼンテーションの方法が、少しずつ定着しつつあることが伺えました。
また今回初めて、演奏会当日の日中に公開リハーサルとプレ・コンサート・トークを行いましたが、当日の午後3時から行われた公開リハーサルには思いのほか参加者が多く、指揮者と演奏家、そして作曲家とのやり取りに熱心に聞き入っていました。

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プレ・コンサート・トークでは、アメリカ・ニューヨークの音楽事情に精通しているコンティ氏と、現代アート界で今最も注目されている美術評論家である松井氏の鋭いやりとりが大変興味深く、異分野からの視点を加えることによって、また新しい音楽の見方ができる、と多くの高評をいただくことができました。 NYNMEのメンバーも、松井氏、コンティ氏も、グローヴィルの企画のコンセプトをよく理解してくださり、様々な斬新な試みに対して、限られた時間の中で最高の力を発揮してくださいました。また、昨年度からご協力いただいているボランティアの方々や、今回新しく参加してくださった学生ボランティアの方々も、それぞれの持ち場でご活躍いただきました。改めて御礼申し上げます。


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NYNMEに限らず、海外ではすでに高く評価されているにも関わらず、受け入れ団体が無いために、日本で演奏会をする機会が持てないような演奏家や団体は数多く存在します。彼等の受け皿として貢献することもグローヴィルの重要な使命の一つと捉え、今後も誠意ある活動を続けていきたいと考えています。ご来場いただきました皆様、心よりお礼申し上げます。また次回の企画でお目にかかれますこと楽しみにしております。

6月1日の演奏会の前日に行われた、大学生向けの公開講座の様子もここでご報告しておきます。 場所は、尚美学園大学上福岡キャンパスの音楽ホール。開催までにあまり日数が無いタイトなスケジュールで企画案を持ち込んだのだが、作曲コースと音楽メディア・コースの教授陣が強い関心を示し迅速に動いてくださって実現しました。大学側の事務的な手続きに時間がかかり、学生への告知時間が2日間しかない中、開催キャンパスに勤務する専任/非常勤の全ての教員に対して学生への告知要請をしたところ多くの協力が得られ、開催当日は250名収容のホールがほぼ満席となりました。

普段、現代音楽にあまり接する機会が無い演奏コースの学生の来場者も多く見られたが、最後まで席を立つ者はほとんど無く、新しい音楽や演奏法の説明に、驚くほど熱心に、身を乗り出すようにして耳を傾けている姿が大変印象的であった。この日の講座内容に触発されて翌日の演奏会に訪れた学生も少なくありませんでした。公開講座や公開リハーサルなどは欧米ではよく行われていることですが、確実な集客に結びつけるためにも、今後の企画にどんどん取り入れたいと考えています。 関係者皆様、ご協力、ご厚情賜りまして誠にありがとうございました。

  2004年6月1日(火)
  Tokyo FM Hall
  ニューヨーク・ニュー・ミュージック・アンサンブル
  18:00会場 18:15―18:45プレ・コンサート・トーク 19:00開演
  全席自由 税込み
一般¥4,000(前売り¥3,800/会員前売り¥3,000
学生¥3,000(前売り¥2,800/会員前売り¥2,000
  =演奏者=
フルート/ジェーン・ローゼンフェルド、クラリネット/ ジーン・コープラッド、バイオリン/リンダ・クァン、チェロ/クリス・フィンケル、ピアノ/ステフェン・ゴスリング、打楽器/ダニエル・ドゥルックマン、指揮者/ジェフリー・ミラースキー
  アメリカ大使館協賛 コスモ石油株式会社協賛 NEC後援 NECソフト後援 日米交流150周年記念事業 他

Past events

Contemporary-Jazz Drive ついに開催!

8月5日、東京オペラシティ リサイタルホールにてContemporary-Jazz Drive が開かれました。 当日の大雨にもかかわらず多くの方にご来場頂き、ホール満席で19時よりスタートしました。 NY在住のジャズ・ミュージシャン2人(アレン・ファーナム、スコット・ウェンホルト)と日本のジャズ・ミュージシャン3人(岡淳、吉野弘志、小島勉)の共演によって、ジャズとクラシック現代音楽の融合をテーマにした7作品を発表。既成の作品がほとんど無いため、作品は4人の現代音楽作曲家(久木山直、小島有利子、鍋島佳緒里、三宅榛名)と3人のジャズ・ミュージシャン(アレン・ファーナム、スコット・ウェンホルト、小島勉)の計7作品、異例の全作委嘱新作/改訂世界初演での演奏会でした。 2時間近くに及ぶ長い演奏会でしたが、作品はひとつひとつ、それぞれの作曲家のジャズに対する違った視点が現れており、飽きさせない内容でした。また、全員ジャズ・ミュージシャンによる現代音楽作品の演奏会は日本では例が無く、チャレンジングなプログラム内容に対して、各方面の専門家からも賛辞をいただきました。 会場ロビーでは、この日演奏された全作品の楽譜やスケッチを展示し、手に取って興味深く見入る方や、作曲家に質問する姿も見られ、従来の演奏会にはない、一歩踏み込んだ観客へのアプローチができました。 今後も、他ではあまり企画されていないユニークな演奏会を企画してまいりますのでご期待下さい! お越し頂きました皆様、本当にありがとうございました!またすぐにお目にかかれますように・・・


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Contemporary-Jazz Drive

平成 15年8月5日 東京オペラシティ リサイタルホール
18:30 開場 19:00 開演
一般¥4000 学生¥3000

プログラム [ 全曲委嘱新作世界初演/改訂初演 ]

All new and world premiere works commissioned by NPO Glovill
スコット・ウェンホルト / アレン・ファーナム / 小島 勉 / 三宅榛名 / 久木山 直 小島有利子 / 鍋島佳緒里 作曲作品、トランペット /スコット・ウェンホルト、サックス/岡淳、 ピアノ/ アレン・ファーナ ム、ベース /吉野弘志、ドラムス/小島勉
ジャズとクラシックの教育を受け、最高の水準で演奏ができるジャズ演奏家を日米(ニュー・ヨーク )より迎え、 日本の クラシック現代音楽作曲家4名と演奏家3名に よる新作、計7曲により 構成する演奏会を行います。
来日したジャズ演奏家による各楽器の高度な特殊演奏技法や即興技術のワークショップも行います。
協賛: アメリカ大使館 /コスモ石油株式会社 / エデストロム ジャパン株式会社
助成: 東京都芸術国際交流事業
後援: [社]日本作曲家協議会


Review - May 2003

日本とニューヨークを結び、現代クラシック音楽の普及活動を行う特定非営利 活動法人Glovill。その初年度の活動がいよいよスタートした。今年のテーマ は「現代クラシック音楽とジャズの融合」、日本では学術的なアプローチが少 ないジャズをクラシック音楽のコンテクストで解釈、その中からさらに新たな 創造活動を見いだそうとするものであり、具体的にはレクチャー・コンサート および委嘱作品によるコンサートという2企画によるものである。

第1回目の企画である「ジャズに影響を受けた近現代音楽作品によるレク チャー・コンサート」は、去る5月28日、恵比寿麦酒記念館(恵比寿ガーデン プレイス内)にて行われた。クラシック音楽の歴史の中でジャズがいかに発 展、取り込まれてきたかを明らかにすべくジャズの本場ニューヨークにあるコ ロンビア大学から迎えたのは、作曲家 / 音楽学者として著名な大学大学院音 楽学部のジョナサン・クレイマー教授と、そのレジデント・アンサンブル MOEBIUSENSEMBLEの音楽監督/ピアニスト、デボラ・ブラッドリー教授であ る。

レクチャーに先立ってはアメリカ大使館文化担当官であるマーク・デイヴィド ソン氏から有り難い基調スピーチを頂いた。ジャズというアフリカをオリジン とする音楽が、長い歴史の中、国境を越えアメリカ大陸に渡りさらに発展を続 ける豊かな芸術の1在り方として当日会場にいた人々に理解、享受されたに違 いない。

レクチャー・コンサートでは、スコット・ジョプリンの「パイン・アップル・ ラグ」、イーゴル・ストラヴィンスキーの「<兵士の物語>よりラグ」、或い は当日の講師であるジョナサン・クレイマー教授の「ワールド・ピース」など 10曲以上が演奏(或いはCD録音資料による)された。プログラムを締めく くったのは、ブラッドリー教授とゲストピアニスト玉井美子氏の連弾による ポール・シェーンフィールドの〈ブギー〉。2人の息の合った演奏と高い技巧 性に観客から大きな拍手が送られた。

クレーマー教授の深い解釈に裏付けられた説明は音楽学的にも高い内容だが、 同時にジャズの響きは非常に親しみがもちやすかった模様。従って、観客には 音楽学者、専門家に加え、音楽を専門としない人も多く、現代音楽を広く一般 の人々に普及させることをミッションとするGlovillには誠にうれしい結果で ある。

欧米では、最先端の現代音楽とジャズの接点を追求、制作している作曲家や演 奏家は少なくないが、ジャズ界とクラシック界の交流が少ない日本では、その ような音楽的活動がほとんど無いのが現状。コンサート終了後開かれたレセプ ション・パーティーでは、両教授に対し多くの質問、反応が寄せられていた。 8月のコンサートが今から待ちきれない。

Pictured (from the left to the right):
Dr. Yuriko Hase Kojima (NPO Glovill),
Mr. Mark J. Davidson (American Embassy),
Dr. Deborah Bradley (Columbia University/pianist),
Dr. Jonathan Kramer (Columbia University /composer/ music theorist).

Past event - May 2003

ジャズに影響を受けた近現代音楽作品によるレクチャー・コンサート

ジャズがクラシック音楽に取り入れられてきた歴史や社会的背景、理論、コンセプト について、コロンビア大学大学院音楽学部のジョナサン・クレイマー教授と、同大学院 の教授及びレジデント・アンサンブルのピアニスト、デボラ・ブラッドリー教授を迎 え、 解説付きでピアノ・リサイタル及び、 ワークショップを行います。通訳付き。レ セプション・パーティも行ないますのでぜひお越しください。
平成 15年5月28日 恵比寿ガーデンホール恵比寿麦酒記念館
作曲家 / 音楽学者
コロンビア大学大学院音楽学部のジョナサン・クレイマー教授
同大学院のレジデント・アンサンブル MOEBIUS ENSEMBLEの音楽監督/ピアニスト
デボラ・ブラッドリー・コロンビア大学音楽学部教授
ゲスト・ピアニスト
玉井 美子
協賛: アメリカ大使館
後援: 朝日新聞社 • コスモ石油株式会社 • [社]日本作曲家協議会後援


Past event - April 2003

Fund Raise Jazz Concert and Beer Party 開催!

去る4月20日[日]に、ガーデンプレイス恵比寿麦酒記念館 にてFund Raise Jazz Concertが開催されました。 小島勉トリオによるエキサイティングな演奏と恵比寿ビールで、楽しい日曜日の夜を皆様と過ごすことができました。 お越し頂きましてありがとうございました!